昭和を代表する長唄唄方の名手であった七代目芳村伊十郎(1901〜73)による長唄の30枚(全72曲)。現行の長唄を集大成した録音としては他に類を見ないほど充実している。25枚目以降は杵屋栄二、山田抄太郎といった三味線の名人との共演。代々、歌舞伎の舞台で活動する家系だが、美声と巧みな節回しは舞踊の伴奏にとどまらない……
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絶妙の間で雰囲気をまとめ、名人と言われた伊十郎の芸を堪能できる。能の「道成寺」をもとに、能の「三井寺」の文句を借用した組曲風の長唄の代表的作品「京鹿子娘道成寺」は、語呂合わせ的な文句に調子の良さを感じる。庶民の教養を体感的に知ることができ、意味は文字を見たらわかるだろう。
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