吉田基已 - その他 1

甘く切なく擬（もど）かしい、ふたりの長い夏の前日。ーー日吉ヶ丘（ひよしがおか）芸術大学4年生・青木哲生（あおき・てつお）。月下（げっか）画廊店長で、和服が似合う大人の女性・藍沢晶（あいざわ・あきら）……続きを見る

絵を描こうと思う。いや、絵が描きたい。ーー自分が何をしたいのか分からなくなり、画が描けなくなっていた美大生・青木哲生（あおき・てつお）。美大予備校の講師バイトをしたことで、夢中で絵を描く学生にふれ、……続きを見る

ふたりだけの空間、ふたりだけの時間。自由だが自由に描けない美大生・青木哲生（あおき・てつお）。本気だが本気にさせない和服の美女・藍沢晶（あいざわ・あきら）。言葉も、身体も、心も、すべてが心地いい二人……続きを見る

華海（はなみ）は簡単に涙をながし、「哲生（てつお）君が彼氏だったらよかった」と哲生に言った。 晶（あきら）は決して泣くことはなく、「じゃあ、またね」いつもそう言って、哲生を見送った。 孤独に満ちた哲生……続きを見る

それは、ある日突然だった。 「はなみ」が、森の彼女、小早川華海として現れた。戸惑う哲生の心の壁を、あっけなく越えてくる。 晶がしてくれたように、晶にやさしくしたい、晶のことだけを考えていたい、はずなの……続きを見る