太田　忠司 - 小説 1

赤いレンガの小さな駅、ブラウントゥリー。家出した札つきの不良のぼくは帰って来た。牧場を抜け、丘を越え、その向こうには……。初恋の女性や故郷に対する思いを、叙情豊かに謳い上げた幻のデビュー作「帰郷」（星……続きを見る

鴬橋派出所管内で発見された死体の後頭部には、大きな裂傷が刻まれていた。間違いなく他殺だ。ーー刑事になることを目標とする外勤警官・阿南は、その遺体に残された、謎の噛み傷に疑問を抱く。いなくなった飼犬捜……続きを見る

求む奇談！ 自ら体験した不可思議な話、求む。高額報酬進呈（ただし審査あり）。ーー新聞の募集広告を目にして酒場を訪れた老若男女は、奇談蒐集家を名乗る恵美酒と美貌の助手・氷坂を前に、怪奇と謎に満ちた体験……続きを見る

「この手紙が阿南さんに届くなら。俺のことを思い出してください」ーー阿南、34歳の冬の事件。再生。 九月に入ったばかりの暑い朝。少女は誰にも何も告げず、屋上から飛び降りた。その死の後、高校三年生の少年が……続きを見る

去る者。送る者。佇む者。寂しき人々の歩みの一瞬の交差。胸に迫る余韻の傑作長編、シリーズ第３弾。 黒い革ジャンにジーンズ、そしてフルフェイスのヘルメットを身につけた男は、ナイフを突き出して言った。「金……続きを見る