田辺聖子 - 電子書籍 3

ヤマトの大王の想われびと、女鳥姫と恋におちた隼別王子は大王の宮殿を襲う。愛と権力を賭けた血なまぐさい叛乱の夢は、大王の前にあっけなく破れ、隼別は女鳥姫とともに誅殺される。かつて宝塚でも上演され、劇画……続きを見る

朝ごはんを一緒においしく食べられる人と住みたいーー。そんな思いが叶って野百合は仕事で知り合った子持ちの律と同居をはじめるが…。10歳の宵太の世話をやき、元気の素の食事を作る暮らしはなかなか素敵で心弾む……続きを見る

アイツにとって、俺は、うたかたのような存在でしかなかったのかもしれない。でもあの時の幸福は、うたかたではなかったと思うーー。チンピラの焦がれる恋を描く表題作ほか、大阪で彼を待つタミ子や、障害を持つわ……続きを見る

男のワルクチは言いたかないが、女としてはちょっと蒙を啓いていただきたい部分があるから、あえていう。ーー男の作る政府も政治も、腐敗堕落しきっていますよ。仏のお聖さん変じて、時に、怒りのお聖となって、男……続きを見る

男女間の色事ではじまり、人情の機微にふれ、煩雑な世事を皮肉り、時に説教をし、やっぱり男と女のお話に果てる。卓抜した発想を、軽妙な大阪ことばで仕上げた笑いのフルコース。洒落た味わいのなかに、醒めて、し……続きを見る

平安王朝の宮廷ドラマの華麗な覇者、光源氏の、因果応報ともいうべき秘められた業を背負って生れた、もの静かな貴公子・薫。彼を敬愛するがゆえに、その切実な求愛に応えることを拒みとおして逝った大君。運命の恋……続きを見る

イケメンの貴公子と恋をしたい！ ドラマティック恋を求めて突き進む月冴姫とやんちゃな妖怪たちの王朝ファンタジー。 内大臣の美しい姫君・月冴姫は東宮の妃として入内を待つ身。 ある夜、屋敷の者が寝静まった頃……続きを見る

夫の女ぐせの悪さに嫌気がさし家出した桐江は、連れ込み旅館で働いている。今は何が起ころうと無感動、寂しさも消え、なぜか安心して暮している桐江。それは、「人間ぎらい」(表題作)になったからなのかーー。夫に……続きを見る

恋はどうして、いつも期待や望みを裏切って思いがけない方向へ転がっていくのだろう。そして人はどうして、そんなままならぬ恋から逃れられないのだろうーー。なぜか手放せない想いに逆にからめ取られて、身動きで……続きを見る

〈上の天神さん〉の境内で行われるラジオ体操。カタコラカタコラ下駄履きで集まると、在郷軍人の小父ちゃんが台に上って号令をかけていた。／トコのちぢれ毛をまっすぐにして下さい。中原淳一の絵の女の子みたいに……続きを見る

小説にちりばめた、愛らしくかわいい小物類とおいしい料理。田辺聖子の夢がいっぱいのオリジナル版カラー美術館。きれいな物、おいしい物を手づくりで！　ーーゆめゆめしい布の袋、お遊び小もの、ヅカ風お好み焼き……続きを見る

千年の命を今に伝える「源氏物語」。その原文の香気をたたえ、古典の口吻を伝えつつ、読みやすい現代の言葉で物語のエッセンスを余すところなく汲み取り書き下ろした。また、四季の自然の美しい変化の中に、人間の……続きを見る

年下の男との恋に落ちて5年。新鮮さがいつか馴れ合いになり、ときめきは穏やかな親近感に変わった今、留禰は別れが近いと知る。もはや止めることができない恋の終わりを受け入れようとする女、その心に溢れくる甘……続きを見る

平安時代末期に成立した『とりかえばや物語』は、内気で女性的な若君と、男性的で快活な姫君とが、それぞれ女装して、男装して生きていくことで展開する王朝の物語である。「男女をとりかえたい」との父親の願いが……続きを見る

私、明田マリ子、ハイ・ミス。ＯＬのとき年下の男に失恋して、いまは有名な女流作家、秋本えりか先生の家でお手伝い兼秘書兼イヌの散歩係。月末になると、いろんなタイプの編集者が原稿催促におしかけてくるが、な……続きを見る

みちのくは遠い。生きて戻れるだろうかーー。江戸の都の名利を捨てて、晩年の芭蕉は遥か東北へ旅立つ。それは新境地を切り開くために、この世と人生の生々流転を見つめる旅路だった。そして三百年あまり。芭蕉の足……続きを見る

歴史に戦争に女同士の恋愛に……大好きな作家の人生を辿るおせいさんのまなざしが熱く、やさしい。 ーー柚木麻子（上巻帯より） 男性中心の文壇に挑み続けた二人の女性作家。信子と聖子の「出会い」から生まれた奇跡……続きを見る

白髪まじりに中年ぶとり、しかし心の中は、男ならば永遠の男性性、女性ならば女性性をみごとにたもちつつ、猥雑さを洗練に昇華させた大人のおしゃべり続編。話はいよいよ佳境に入り、揺れ動く女心と女体の相関関係……続きを見る

貧しさにあえぎながらも、一途に恋心を守り抜いた樋口一葉。燃えるような愛憎を作品に注ぎ込んだ与謝野晶子。〈俳人〉と〈主婦〉、二つの己に引き裂かれた杉田久女……。女性の地位が低かった時代、明治生まれの作家……続きを見る

王朝の夜は、一寸先も見えない漆黒の闇だった。その闇の中を、鬼は、御所の内に、橋のたもとに、北山に、時に天空を翔り、彼岸・此岸をも自在に往来し、わが物顔に徘徊したーー。若く美しい人間の女房をもてあまし……続きを見る

ラブレターにはろくな文例がない、と悦子は発見した。相思相愛の文例はあっても、片恋の苦しさをしみじみ訴えるというのは、ない。ーースキデス。いろんなことがありましたーーこれ以上、何も浮かんでこない。親友……続きを見る

インスタントラーメンだって工夫ひとつでおいしく食べられますーー。柔らかい心で生きなければと思いつつも、今日び余りにも馬鹿げたことばかりで疲れます。自分中心の若者の無礼なること、権力志向する男の愚かし……続きを見る

関西の瀟洒な家で、車椅子の夫、老母、パート夫人、ミド嬢、数数のぬいぐるみと共に忙しく暮らす田辺さん。ある日、夫に新たな病が発覚。別れの時を予感しながら、看護と介護と作家仕事を切り盛りしていく。毎日の……続きを見る

恋のホンモノを手に入れたあと、もう気の抜けたニセモノの恋では満足できない！　結婚のできない恋は本物ですか？　ーー眉子、２８歳。妻子ある男・東野と、恋の真っ最中。勤務先で、同僚の稔からアプローチされる……続きを見る

男はでんと坐って、貫禄を見せねばならぬが……。勝ち目の少ない亭主の、切なさ辛さ！　男の権威、女の実績　女の横暴、男の我慢ーー亭主の鼻面引き廻して、ごろ寝の女房はいいたい放題。女世帯で迫害される、気弱な……続きを見る

人生には二つのたのしみがある。一つは食べること、もう一つはおいしいものをこしらえることーー。 通いつめた神戸の市場、奄美の豪快な豚料理、夏のスダチ酒とぬか漬け、なんといっても大阪のうどん。つくるのも……続きを見る

尽した会社や愛した子どもに裏切られてもけなげに生きる可憐な中年族に送る大応援歌。 中年族をはげますペーソスあふれる長編ーー戦中、戦後を苦労して生きぬき、国家や会社の御為に、個人の幸せなどそっちのけに……続きを見る

川柳は座右におき、いつも眺めているのがいい。年を重ねるほどに、今までわからなかった句がわかるようになる。こうして面白い句を拾いあげ、掌にためるのがおちぼひろいの楽しみである。ユーモアの達人である著者……続きを見る

僕が結婚するとき、お袋は別居を宣言した。もの分りがいい、と喜んだが成行きは大違い。買ってくれたクルマや電話がすべて、僕をひんぱんに呼びつけるための小道具だった。僕にとってお袋の家が本宅、女房のいる家……続きを見る

「ああしんど」「あかん」「わやや」……。大阪弁独特のこうした言い回しのなかには、大阪人のどんな真情がひそんでいるのか。千年もの間、磨き抜かれた社交技術の粋ともいえる京の言語文化と、三百年の伝統ある商都……続きを見る